財団は数カ月にわたる構造・支出・長期的責任の見直しを経て今回の決定に至りました。残留スタッフはプロトコル、アクセス、ユーザー、コミュニティ、機関投資家対応の5つの機能部門に再編されます。共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は「解雇された同僚たちは優秀なエンジニアであり、10年近くイーサリアムプロトコルに携わってきた人々だ」と述べ、失われるものの大きさを認めました。

ネットワーク自体の利用状況は過去最高水準にあります。2026年第1四半期の月間アクティブユーザーは1,320万人と前年同期比85.9%増、トランザクション数は前四半期比38%増の2億400万件、スループットは毎秒25.78件と過去最高を記録しました。一方でレイヤー1の取引手数料収入は前四半期比約48%減の3,990万ドルに落ち込み、前年同期比では81.9%の減少となりました。ETHは年初来43%超下落し、1,670ドル近辺で推移しています。

イーサリアム上のトークン化資産総額は第1四半期に2,034億ドルに達し、うちステーブルコインが1,789億ドルを占めます。ブラックロック、JPモルガン、フランクリン・テンプルトン、フィデリティといった金融機関がトークン化ファンドや決済インフラとしてイーサリアムを活用する動きは拡大していますが、米国上場の現物イーサリアムETFは7週連続で資金流出が続き、合計約10億ドルの純流出を記録しました。機関投資家はネットワークインフラを利用しながらも、ETHそのものを大量に保有する必要がないため、採用拡大がトークン価格に直結しない構造が浮き彫りになっています。

財団の再編は財務面にも及びます。ブテリン氏は、2030年以降の年間支出率を現在の約15%から約5%へ引き下げ、長期的な開発資金を確保する方針を示しました。技術面では、MEV(最大抽出可能価値)リスクの低減やプライバシー強化を優先課題に掲げ、FOCIL(フォワード・インクルージョン・リスト)やePBS(組み込み型プロポーザー・ビルダー分離)などの仕組みを検討しています。プライバシー・スケーリング研究部門は独立組織としての活動を終了し、暗号技術の専門家はプロトコル実装へ直接移行します。

ブテリン氏は、イーサリアムの「Strawmap」と呼ばれる第3世代の開発計画を限られた予算で実行した後、プロトコル開発をセキュリティ修正と限定的な高価値改善に絞る「ソフト・リーン・アンド・ダン」モデルを志向すると述べました。なお、財団の新たな範囲外となる一部の大型プロジェクトについては、ブテリン氏が個人資金で支援する意向を示しています。